先日紹介した「GRIT」という本。
とても面白い本だと、至るところで紹介し続けたら、「買ったよ」、「読んだよ」って声をかけられることも増えて、少しだけその責任も感じていますw 面白いことは面白いんだけど、じゃあこれを読んで何に活かせるのか、どう活かせるのか、つまり何なのか、読んだ人ほど感じるんじゃないかなって思ったんだけど、実際のところどうなんだろうか。俺のオツムでは、なかなかこの本の本質が何なのか捉えきれなかったというのは本音です。薦めておきながらねw でもね、漠然とだけど、この力が必要だということは読んで尚更わかっているんです。むしろ読めば読むほど、その思いは強まる。
この本の理解のためにぶつかる壁はやはりアンジェラ・ダックワース本人も書いている通り、「理論」が無いということなのかな。正確には、当初は理論がなかったけど、それが少しずつ理論化してきたから書籍化されているんだけど、このGRITの裏づけとして紹介されるどのデータも、他者のデータの継接ぎでこのGRITとしての理論が不鮮明に私には感じるのです。言い換えると、理論として成立させるためにも、データによる事実と観察結果がどう絡むのかを簡便に言語化できなければいけないんだけど、点と点がはっきりとつながっていないように俺には見えました。
とはいえ、「GRIT」とは要は『情熱』と『粘り強さ』であるということは理解できるはずです。俺でも理解できたから。そして、このGRITという力は後天的に伸ばせるんだということ。この本の言葉を借りれば、所謂先天的な『才能』ではないということ。才能と努力を掛け合わせて得た『スキル』と、さらに努力を掛け合わせることで『達成』に導くことができるという達成の心理学というか方程式があるということを彼女は言いたいのだ、と。そこも分かる。
加えて『内側から』伸ばせるだけでなく、『外側から』も伸ばせるということ。俺には、ここが難しい。内側から伸ばすというのは要は自発的な自分への働きかけであり、外から伸ばすというのは、教師やコーチ、親、家族、友人なども大きく影響するということ。じゃあ、この二つ(内的/外的要因)はどう絡み合うのかが、この二つの優劣の関係性はどうなのか、この本からは分かりづらかった。
逆に、この二つが「良い形」で絡み合わないといけないとかを平気でヌカすのであれば、俺はこの本は正直使えない「駄本」と思うんだけど、その点はこの本の中ではあまり触れられていない(もしくは俺の理解が追いつかなかった)ので、その点を今後掘り下げてくれることに非常に期待したい所でもあります。
で、前置きは長くなったんですけど、「内側から伸ばす」という点に関してはもうね、怖いくらいに同感というか、かつ自分のこれまでの経験にも重ね合わせてしまうところがあって、すんなり受け入れることができた点が多かったんです。
その上で、メモに残したのは
- ニーチェの言葉、と
- 心理学用語である「究極的関心」とGRITの関係性の部分
これの何に自分の触覚が働いたかを説明するのは難しいんだけど、自分が今後、教育を語る上で腹落ちさせたいと直感的に悟ったとでもいうのかな。
1.ニーチェの言葉というのは、偉業を達成する人について
1つのことをひたすら考え続け、ありとあらゆるものを活用し、自分の内面に観察の目を向けるだけでなく、他の人々の精神生活も熱心に観察し、いたるところに見習うべき人物を見つけて奮起し、あくなき探究心を持って、ありとあらゆる手段を利用する
と説明しているということ。これ、成功した人は、どんなに努力をしても、他者から「才能」という言葉で「神格化」されて片付けられてしまうという才能に対するバイアスについて説明しているところで、引用されています。才能で片付けられちゃうとGRITは日の目を見ないですからね(苦笑)
そして、2.究極的関心というのは、目標には上位・中位・下位の3段階あって、全ての目標を縦串で貫くような目標が必要だということを意味している。もっと言えば、目標を達成するために下位の目標があって、それはいわばその目標を達成するための「手段」であるということ。なので、最上位の目標は「目的」とも置き換えられるもので、これ自体は手段にはなり得ない。この最上位の目的を「究極的関心」と呼び、下に続く全ての目標に意義と方向性を与えるコンパスである、と彼女は書いているのは非常に興味深い。
そして、この下位の目標を達成し続ける経験(もしくは失敗してもクヨクヨしすぎず、次の目標を立てられること)が、その人に自信を与え、やり抜く力を育むということはとても示唆に富むし、自分の教育観にとても近い。
「究極的関心」の関係図
まだまだ、読み解くことは沢山あるんだけど、いま自分の言葉に置き換えられたのはこれくらいかな。この本にはまだまだ余白があって、そこへの解釈は各々に委ねられている気がします。でも、これがより理論立てされ広がる前に、GRITに対して向き合い、取り組み「続ける」ことができれば、優位になれるかもなとか思ったりして。子ども達にも、スタッフにもしっかりと伝えられるようにもっともっと理解を深めたいと思っています。
今日はこれでおしまい。
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