■「従業員はお客様」である
これ、皆さんはどう考えますか?
たまたまこの考え方をこの直近で何人からか聴きました。
そして、数年前にもこういうことを言っていた人がいたなぁってふと思い出しては、この考え方に都度反応してしまう自分がいると言うことは、いまだにこの考え方が自分としては腑に落ちていないんだなぁ・・・と感じるわけです。
この考え方、紐解いていくと、スターバックスの理念らしいですね。スターバックスのCEOだった岩田さんの著書でこう書かれているそうです。
一人のお客さまより、一人の従業員のほうが百万倍大切。 売上約140億円にまで伸ばす原動力になったのは「従業員の満足度を上げた」ことだった。
僕は読んでませんが、この本の中の一節らしいです。
■スターバックスの精神とESの向上
スターバックスの精神は以下の6つで、お客様より上に従業員が位置するらしい。
- Our Coffee
- Our Partners(従業員)
- Our Customers(お客様)
- Our Stores
- Our Neighborhood
- Our Shareholders
天下のスターバックス様がおっしゃるなら、そらぁしゃーねーわなwということで、自分の中では強引に割り切りましたが、自分の中にはやっぱり違和感が残りました。ただ、要は考え様で、本質は「従業員満足度(ES)の向上」の重要性を説いていると考えれば、異論は何もございません。
これは、私の仕事における今期のテーマとしても掲げているくらいですから。従業員がいわゆる会社に対して「エンゲージ」できるようにすることが僕は大事だと思っています。でも、従業員はお客様という表現は、きっと一生俺は使わないだろうなぁ・・・って思ったり(苦笑)
■ところで、「お客様は神様」ではなくなったのか?
ところで、「○○は●●」と言えば「奥様は魔女」とか「月曜日は夜更かし」なんてのもありますが、今回はそうじゃなくて。
「お客様は神様」って言葉もありますよね。昨今、否定的な記事でしか見かけなくなりましたけど。この言葉を笠に、付け上がる客が増えたこともその理由の一つでしょう。
そもそも、自分のことを神様って言うなっての。
そもそも、こちらにも信仰の自由があるっての。
なんて、言いたいことはいっぱいあります。
まぁ、そんなお客様が増えているのも事実ですが、サービス業に携われば大なり小なり「クレーマー」呼ばれる類の人と接することは少なからずあります。でも、不思議なもので、僕は社会人になって10年経ちますが、きれいごとではなく「クレーマー」と呼ばれるお客様に会った記憶がありません。
もとい、正確には、「クレーマー」だと思ったことがない、ですかね。
傍から見れば、理不尽なことで俺が怒られたり、それを対応しているのを見たことがある人はいるでしょうから、クレーマーに会ったことがない、わけではないかもしれません。でも、僕個人の価値観で言えば、たとえクレーマーと呼ばれるような相手だったとしても、主張にそれなりの理屈が合って、まったく持って理不尽な言い分だとは思わなかったんですね。自然と感謝して聞けるのは、僕の才能の一つだとすら思います。
レジリエンス能力、俺、高そう。
で、話は戻りますが、「お客様は神様」という言葉はサービス業の迷信というか、盲目的な観念だったこともあって、最近ではあまり聴かなくなりました。むしろ「従業員はお客様」の方がここ半年では聴いた頻度は高いです(笑)
この言葉の本質がどこにあるのかにもよるんですけど、一般的な盲目的な意味合いだとすれば、これほど気持ちの悪い表現はないかな。「お客様は神様」という言葉の持つ徹底的な奉仕の精神が、「ホスピタリティ」って言葉と都合よく繋げて話されていたりすると、も~イライラする。そもそも「ホスピタリティ」という言葉も独り歩きしてて、つまり何?と聴かれても、よくわかんないし。
ちなみに「ホスピタリティ」という言葉には、お客様との間の上下関係における徹底的な奉仕の精神なんて意味合いはなくて、対等な関係の中で心から行うもてなしのことを指すらしいので、対極に位置してるとも言えそうです。
お客様からのご意見の中に、自分達のサービスをさらに高めるチャンスがあったり、しっかりと向き合うことでファンになっていただける機会も同時与えられていると考えれば、たしかに「お客様は神様」かも知れませんが。
■「神様」に対して受身になるか、「伝道師」として働きかけるか
面白かったのは、たまたま見つけた日本総研の昔の記事。
「お客様は神様である」に異を唱えるのが、「芸人」や「役者」、或いは「伝道師」として商人を定義する言説。
というところは非常に興味深い。
「芸人」の場合、お客様を喜ばせることの対価(おひねり)が売上であるから、売ろうと思わずに、お客様を喜ばせることに徹しろ、という言い方になる。また、「役者」であれば、お店という舞台の上で光り輝く演技をし、お客様を魅了しろ、となる。ディズニーランドでスタッフを「キャスト」と呼ぶのはまさにこの例である。
と大変気持ちいい、書きっぷり。そして、次の一節にぐっと来た。
さらに、「伝道師」となると、無知なお客様に対して自身が提供するものの良さを熱く語り、その商品の信者を作る、つまり、布教活動こそが商人の本質である、というような物言いになる
なるほどね。この後にもレポートは続くんですけど、ここまでが僕にはとても重要でした。
理想的なお客様との向き合い方を考えたときに、俺も「伝道師」というスタンスを取ることが多い。お客様にこびへつらい、受け入れるのではなく、時にお客様の価値観すら変えるようなことを厭わないスタンスというと、かっこよすぎるけど、でも、そういうことなんです。
価値を語る語り口にあたる「ストーリー」というものを持ち合わせる必要が出てくる。この時点で、「お客様は神様」と言った時の無意識的な受身な姿勢が、「伝道師」として意識を変えた瞬間に働きかけの姿勢になる。言わば、攻撃は最大の防御!?
つまり、俺が考えるサービスは、受身ではなく、能動的、かつ積極的な「働きかけ」のなかにこそ、答えがあるんだなと思いました。もちろん、こちらの働きかけに対しての真摯な感想、ご意見に対してはしっかりと受け止めますけどね。
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