治安の悪い地域であえてペイフォワードを仕掛けたらどうなるのだろう?

名子役と言われたハーレイ・ジョエル・オスメントが主演した映画「ペイ・フォワード」。


当時映画館に観に行きましたが、主人公の男の子が「世界を変えたいと思ったら何をする?」という問いに対して「親切にされたら3人の人に親切をする」計画を思いつき、やがて街中に”親切の連鎖”が広まるというストーリー。話題性もあって張り切って上映初日に観に行ったような覚えがあるんだけど・・・、結果エンディングが好きではなくて、個人的にはその悪印象だけが脳裏に焼き付いている映画となってしまいました。

なんで急にこの映画のことを書いたかというと、アメリカのスタバでペイフォワードが流行ったって記事を目にしたからなんだよね。英語で書くと「Pay it forward」、復讐/仕返しという意味の「Pay it back」の対義です。昨年の夏に、米フロリダ州セントピーターズバーグにあるスターバックスで、客が自分の後に来店した別の客にコーヒーをおごる行為がブームになったらしい。

この手のブームは、まぁまぁの頻度で起きるらしく、珍しいことではないらしい。昨年の夏に起こったブームはいったん収束したらしいけど、2日間で750人が他人にコーヒーをおごったというんだから興味深い。前のエントリーで書いた「恩送り」の発想もこれに近いのかも。

ためていた本も着々と読み終わって、やっとアダム・グラントの『Give&Take』を読み始めています。
この本の中で①Giver(受け取る以上に与える人)について語っているわけですが、その他②Taker(与える以上に多くを受け取ろうとする人)、③Matcher(与えることと受け取ることのバランスを取ろうとする人)の3者の成功の可能性を調査すると、成功からほど遠いのは①のGiverだという。では、成功の可能性が高いのは?これがこの本の面白いところで、②でも③でもなく、これもまた①Giverなんだって。【馬鹿なお人好し】にも【最高の勝利者】にもなれるGiverという存在、確かに興味深い。

ただ、与えることが望ましい結果を生むかと言えば、そういう訳でもないというのがこのギブアンドテイクの難しいところであり、この本の根幹となっていて、これからそこを読みほどいていきます。要は「与え方」らしい。

マッチャーでもテイカーでも成功する人はいる。しかしギバーが成功するときには、特有の現象が起きるとアダム・グラントは言っていて、その成功が周りの人々に波及する、と述べている。更に踏み込むと、ギバーは成功から価値を得るだけでなく、価値も生み出すのだそうだ。それが他の2者との大きな違いらしい。これについて、ランディー・コミサーの説明は言い得て妙だ。


誰もが勝たせようとしてくれれば、勝つのは簡単だ。
周りに敵がいなければ、成功するのは簡単になる。



要はテイカーが勝てば誰かが必ず負ける。成功したテイカーはその成功を妬まれるのに対し、ギバーが勝つと、その成功を周囲の人々が増幅させる。そういう現象が起こるのだとか。

そう考えると自分もギバーでありたいと願う反面、明らかに違うなと気づかされて悲観的になる。みなさんはどうでしょう?ちなみに、プライベートと仕事の時とでは、違うんだって。多くの人が、プライベートではギバーになる傾向があるけど、仕事の時はマッチャーやテイカーになる。分からなくもない。


ここで、俺が極めたい「共育コミュニティ」の話になるんだけど、運営側としてコミュニティにギバーの精神を取り込むとどうなるんだろうか。成功しているギバーは、①人脈、②協力、③人に対する評価、④影響力の4つの重要な分野で独自のコミュニケーション法を用いるという。この4つが行われやすいコミュニティが存在した場合、そこからはどんな化学反応が生まれるのだろうって考えたら、すごいワクワクするんだよね。そんな簡単じゃないのは分かってるんだけど、だからこそやりがいがある訳でしょ。



学校法人インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢 代表理事の小林りん氏が、GLOBISのG1カレッジでこんなことを語っていた。とてもいい言葉だったので、最後にみなさんにも見てほしいな。

【以下引用】
アランというフランスの哲学者が「幸福論」という著書に書いた言葉。「悲観は気分に属するが、楽観は意思に属する」。その通りだと思う。私たちが生きる今の時代は、ややもすると悲観材料がたくさんある。でも、それを「あぁ…」と思って悲観するのはただの気分だ。なぜなら、皆さんの未来が本当に楽観できるものになるかどうかを決めるのは皆さん自身だから。従って、今を生きる、特に次世代を担って生きる皆さんだからこそ、意志力を持って未来を楽観して、実際に楽観できる未来をつくって欲しい。【以上】


その通りだと思った。最近は哲学の言葉ですら愛おしく感じてしまう。

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ぱーそなるえふぇくつ

Personal Effectsとは「私物」のこと。 岩手出身の私“Meloky(メロキィ)”が、気の向くまま・思いつくがままに書き綴るBlog。趣味、家族、仕事、本、食事、音楽について、他にも喜び・憤り・哀しみ・楽しみ・悩みなどの喜怒哀楽や、普段は口にしないような些細な事など、包み隠さず書きなぐるそんな場所。 私のDJ MIX音源もここから聴いていただく事ができますよ。